手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

大谷選手はどこへ

大谷選手はどこへ

 

 大谷選手の移籍がほぼ決まり、どこの球団と契約するかで連日アメリカの野球雑誌が話題にしています。どうも、他の移籍する選手と、大谷選手は、全く扱いが違うようで、常に大谷選手の移籍先だけが特集になって話題を集めているようです。

 本命は、ドヂジャースで、これは以前から言われていた話で、エンジェルスと同じく、ロスアンジェルスに本拠地のある球団ですから、大谷選手自身、移籍したとしても、アパートを変える必要もありませんし、馴染みのレストランなどもそのまま利用できますので、至って簡単な移籍と言えます。

 然し、他の球団がそれでいいと言うわけでなく、大谷選手が来るとなると、都市自体に大きな経済効果が生まれるらしく、他球団でも地下では必死な交渉がされているようです。

 まずシアトルマリナーズです。アメリカ合衆国西部で最も北にある球団で、住環境は素晴らしく、気候的にも、大谷選手の生まれ育った岩手県に近く、マリナーズ曰くは大谷選手にとって最適な球団ではないかと言っています。

 マリナーズはかつて、イチロー選手が長く所属していて、町全体が日本人選手に好意的です。イチロー選手を尊敬する大谷選手にとっては全く無視できない球団ではあると思います。シアトルは、たくさんの企業があって、財政的にも豊かで、大谷選手への契約金は、求める最大限の金額が払えるそうです。

 然し、当の大谷選手は、既にロスアンジェルスの生活に慣れたために、寒い地域は苦手らしく、シアトルや、東側のボストン、ニューヨークなど寒気のきつい地域へはあまり興味がないようです。

 そこへ出てきたのは、サンフランシスコジャイアンツです。サンフランシスコもカリフォルニア州ですので、気候は温暖で、しかも、ロスアンジェルスに比べ、地域全体を湾内の海水が霧となって、太陽を遮っているため、猛暑と言うものがほとんどないそうです。

 気候としては暑くなく寒くなく、申し分ない土地です。しかも、ロスアンジェルスと並んで日系人の多い土地ですから、何かと生活しやすいのではないかとアピールしています。

 更にはテキサスレンジャーズも名乗りを上げています。つまりどこの球団でも来てくれるなら大歓迎なのです。

 

 契約金も、初めは500億円などと噂されていましたが、600億になり、700億になり、今では900億円と言う噂が乱れ飛んでいます。無論、この金額はアメリカ野球史上最高額です。いよいよ日本人選手がアメリカンリーグの最高峰に立つ事になります。

 然し、当の大谷選手はそうした契約金などの話には興味を示さず、自ら話題にもしません。今月に入って、大谷選手は、少年用の野球グローブを6万個、日本の小学生にプレゼントすると発表しました。大谷選手曰くは,「子供たちに野球を好きになってもらいたいから」。と言う理由だそうです。

 それにしても6万個はけた違いです。注文を受けたアメリカの企業もさぞや驚いたことでしょう。大谷選手はそうした寄付行為をこれまでも積極的にしてきました。自身の生活は質素で、小さな車に乗り、大きいとは言えないアパートに暮らし、別荘も持たず、贅沢な食事もせず、溜まったお金は、ためらいもなく奉仕活動に使ってきたのです。

 こうした大谷選手の行動は、当然世界の国々で話題となり、アメリカだけでなくアジア各国でもニュースとして報道されているそうです。そんな話題に大谷選手は全く関心がなく、自ら語ることはありません。

 全くお金と言うものは、欲しいと思って必死になって稼ごうとしている人には集まらず、全く求めていない人には自然自然に集まるようです。億単位のお金を惜しげもなく寄付する半面、黙っていても大谷選手の価値は、周囲が釣り上げてくれて、800億円から、900億円になって行くのです。たった数日で100億円が跳ね上がると言うのは、常識では考えられないことです。

 ついぞ、億と言うお金を見ることのなかった私からすれば、大谷選手のような活動は全く想像もできません。いや、誰でもそうでしょう。やはりこの人は選ばれた人なのです。

 それでも、大谷選手を見ると、常に怪我に悩まされ、苦しい活動を続けています。人に見えないところでは、全く違ったことで戦っているのでしょう。来年も靱帯の回復までには時間がかかり、その間はピッチャーとしての活動は出来ません。

 然し、むしろ今、ピッチャーを休むことは、この先の選手生活を長く維持するためにも重要なことかもしれません。大谷選手は何でも出来る人ではありますが、何でもすれば無理が出て来ます。ここはバッターに専念して、しばらくは活動を押さえたほうが結果は良いのでしょう。

 何にしても今アメリカ野球界にものすごい怪物が存在しているわけです。少し前までは常にベーブルースと比較されていましたが、もう大谷選手とベーブルースを比較する人はいません。過去から今日まで見ても大谷選手が最高の選手であることは間違いないのです。

 この先記録を塗り替えるのは彼自身なのです。我々はこうした人と同じ時代を生きていることを幸せと思わなければいけません。この先どこの球団に行こうとも、見続けて行きたいと思います。

続く