手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

Daigoさん気を付けて

Daigoさん気を付けて

 

 一週間前(7日)にDaigoさんが自身の動画で、ホームレスや、生活保護者に対して差別的な発言をしたことで、ネットで騒ぎが広がったようです。何かと思って、昨日(13日)のネットの記事を読んでみると、

「ホームレスは自分にとっては必要のない存在。ホームレスなんていないほうがいい。邪魔な存在。治安が悪くなる。臭い。これまで人間は群れから外れた人たちを処刑して生きてきた。犯罪者を殺すのと同じことだ。

 自分が支払っている税金がホームレスや、生活保護者に使われるなんて望まない。生活保護者に金を使うなら、猫(注、野良猫のことか)を救ったほうがまし。猫のほうが可愛い。」等々。

 

 何を言っているのか、意味不明で、話がつながっていません。ビジネスのハウトゥー本など書籍を何十冊も出していて、時折書店などでも平積みした本を見る人なだけに、理性ある人の発言とは思えずびっくり。

 受験勉強などに明け暮れている高校生が、時折仲間同士でこんなことを言って、ホームレスを差別しているのを聞いたことはありますが、物を知らない高校生ならいざ知らず、社会人で人に指導するような立場の人が、こんな子供のような発言をするのは信じられません。

 その後、ネットで反論する人がたくさん現れたらしく、Daigoさんは、それでも自分の意見にこだわって「自分の思っていることを言って何がいけませんか」。と居直り、「文句があるなら、文句を言う人がホームレスに金を出してやったらいい、自分は自分の税金が使われるのは嫌だ」。と、まったく意味不明な反論。

 何でこの人はこんな子供のような発言をするのか。と首をかしげてしまいます。正直ばかばかしい。どうでもいい話です。

 然し、なぜここに書いたのかと言えば、Daigoさんは、かつてマジシャンとして活動をしていました。その薄き縁で彼の活動を今も時折見ていました。私は、彼のマジシャン時代に一度接点がありました。

 大した接点ではありません。日本奇術協会のマジックコンテストで、Daigoさんがコンテスタントとして出ていたのです。その時は、残念ながら制限時間オーバーで失格になってしまいました。

 その時何を思ったのか、彼は私に近づいてきて、先の曲がったフォークをくれました。なぜ私に曲ったフォークをくれたのかはわかりません。常識的に言って、はるか大先輩に渡すプレゼントではありません。相手の気持ちが読めない人なのかな。若いクロースアップマジシャンに時折みられる、社会とつながりを持てないタイプの人かな。と思いました。

 私にすれば、そもそも彼が誰であるのかも知りませんでした。恐らく彼はまだ大学生だったと思います。Daigoさんとの接点はそれだけでした。

 

 その後、Daigoさんが時流に乗って、著作活動で成功をしているのを時折書店などで見ました。私はその活動は素直に認めなければいけないと思っていました。著作を散見すると、いろいろなことを知っている人だと言うのは分かります。但し、私の興味の対象ではありません。

 youtubeでも顔を見ます。若い人はDaigoさんの考え方に共鳴する人がたくさんいるようです。但し、画像で見ると、目に落ち着きがなく、常に相手を見ないようにして、あちこち視線が泳いでいます。視点が定まらないまま、早口で話をするのがどうも見ていて不安定に感じます。

 気が弱いのか、内向的なのか、「この人は人に対して冷淡なのではないか」。と思ったりもしました。今、目の前にいる人に本気で話しかけていないのです。

 こうした人と向かい合って話をしたなら、聞く側は常にDaigoさんの本心がどこにあるのかを探らなければなりません。今話していることが実は片手間で、本当の考えは別にあるように思えてしまうからです。彼は心理学を勉強していて、それに関連する本をいくつか出しているようですが、それにしては、自身の話し方が不安定に見えるのはマイナスだと気付かないのでしょうか。

 どうも最近はこういうタイプの人が多いようです。youtubeひろゆきと言う人が、同じように、画像で話をするときに、正面を見ないで、目が常に泳いでいます。

 話し方は早口で、少し世の中から冷めたような、突き放したもののいい方をします。だから悪いとは言いません。そのスタイルが若い人に受けているのでしょうから。

 ただ、共感しにくい人です。Daigoさんもひろゆきさんも、頭のいい人なのでしょうが、誠実に人と向き合っていないように見えます。それでも仕事が成功しているなら結構なことです。

 

 今日の朝、ネットを見ると、Daigoさんの謝罪文が載っていました。随分何日も自分の意見を正しいと言い張っていたのに、あっさりと全面謝罪をしています。

 

 謝罪することは正しいと思いますが、今回のことでDaigoさんは今後、活動する上では相当に悪い印象を世間に与えたと思います。かなり人を上から見ていて、弱者への差別をしていることが見えてしまいました。

 また、自身が税金を支払っていることに対して、多額納税者の発言が見えてしまいました。もう彼は十分経営者なのでしょう。

  私の人生でもこうした強者の発言を平気で言う人を何人か見たことがあります。国立大学を卒業して、官庁や一流企業に就職していながら人の心が読めない人。

 

 でも、お気を付けたほうがいいでしょう。出版にしろ、youtubeにしろ、マジシャンにしろ、どれも人気稼業です。

 仮に今、大金を稼いでいたとしても、この社会に実などと言うものはまったくありません。雲に乗って空を飛んでいるような人生です。成功したからと言って、上からものを言おうとすると、ある日突然ファンは去って行きます。人気は浮気なのです。

 ファンはタレントが自分を軽視していると知ったとき、いとも簡単に離れて行きます。仕事は、どんな時でも、一人一人に誠実に向き合って接して行かなければいけないのです。自分がマスを相手にしているなどとゆめゆめ思わないことです。十把一からげに人を見ることは危険です。飽くまで自分は一人一人のファンに支えられていることを肝に銘じることです。

 と、もっともらしい説教を垂れましたが、そんなこと私が言うまでもなく、頭のいいDaigoさんはご存じですよね。

 

 明日はブログを休みます。