手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

大坂文楽劇場マジックセッション

大坂文楽劇場マジックセッション

 

 大阪文楽劇場でのマジックセッションの宣伝を始めました。これまでの道頓堀ZAZAでの尾坂セッションの公演が、劇場自体が移転になり、公演できなくなりました。そのため、今年は国立劇場で公演いたします。但し小劇場です。

 日時は、9月23日(振替祝日)、5時30分開演、入場料、当日5500円 前売り5000円

学割4500円、子供半額。

 

 出演は、私と前田知洋、バーディー、まほうの愛華、早稲田康平、高橋朗磨、穂積みゆき、司会はキタノ大地です。前半は、バーディーさんと、前田知洋さん、早稲田康平さんに洋装スタイルのマジックをたっぷりやってもらい、後半は、まほうの愛華さん、それに弟子の朗磨、私の手妻をまとめてごらんいただこうと言う企画です。

 バーディーさんは最近よくテレビで演じる超能力マジックを見せてもらいます。前田さんは、珍しいスタンドアップのサロンマジックをいくつか見せていただきます。この日のために温め続けていた300年前のトリックを新たに改案してお見せするそうです。詳細は見てのお楽しみです。

 

 座席は160席と小規模な劇場です。しかしもう既に100枚が売れています。大部分はまほうの愛華さんのファンが買ってくています。大した人脈です。無論私の方にもお客様がいらっしゃいます。長く大阪で公演を続けてきたため、ようやくお客様が定着して来ています。有難いことと思っています。

 私は来年がマジックを始めて60年になります。11歳から舞台に立って、活動して来て、年齢も、来年が71歳になりますので、マジック歴60年です。然し、どうも、芸能生活何周年とか、舞台生活何周年と言うのは、余り自慢のできるものではないと思います。ただ生きているだけなら、別段才能はなくても50年60年はすぐに経ちます。

 よくアマチュアの古い人が、舞台で、「えー、私はもうマジックを始めて50年になります」。などと長々自慢をする人がいます。演説は長いのですが、マジックをすると何ともお粗末なマジックな場合があります。見ているお客様が、「何だ、あれで50年かい」。と呆れてしまうマジシャンがいます。うっかりすると私もそうした人の仲間に見られる可能性があります。

 60年やったからどうだと言っても別段自慢できるものではありません。何年続けたから価値があるのではなく、何をしたかが大切だと思います。そうであればことさら記念公演をする意味はありません。

 ですが、いろいろ考えると、今迄あまり舞台に掛けなかった作品や、後世に伝えておきたいと思う作品などいろいろと作品が溜まっています。日ごろ舞台で演じているものはついつい安全な演技をしてしまいますので、ついつい億劫になって、めったにやらないものもたくさんあります。それらをまとめて記録に残したいと言う考えは前々から持っていました。そうした作品を見せる機会をどこかで作らなければならないとなると、私自身の体力や、お客様の集客を考えると、来年あたりがちょうどいいのかなぁ、と思います。

 なかなか一つことを60年続けるマジシャンは少ないので、やはり何か催しておきたいな。とは思います。そうなると、東京ならば博品館劇場、大阪ならば文楽劇場の大ホール。と言うことになるでしょうか。それを今から催す気持ちで、企画を立てておこうかと考えています。

 となると、今年に続いて、来年も文楽劇場を予定することになるかも知れません。そうなったときに、一つ、手妻の本を出して、カラー写真で、手妻の小道具、大道具、衣装、小物、などをすべて詳細にグラビアにした本を出せたらいいなぁ。と思います。

 今のところ願望なだけで少しも具体的に話が進んではいませんが、そろそろ今までやってきたことを一つにまとめてみようかと考えています。今年の文楽劇場はそのミニチュア版の公演と言うことになります。アカデミックな舞台が作れたらいいなぁ。と考えています。

続く