手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

福井の三日間 6

福井の三日間 6

 

 結局、この一週間は福井の三国についてブログを書いてしまいました。私にとって三国の町並みは興味が尽きません。町並みで言うなら、飛騨高山、京都、金沢、など有名な観光地がいくつもありますが、三国はそれらの町にはない独特な雰囲気があって、綺麗にまとまった町です。

 まず第一に、京都や金沢が観光地化されて、連日観光客であふれているのに対して、三国はひっそりとしています。観光客を狙った土産物屋さんも、得体の知れない定食屋さんもないのが何より素晴らしいです。ごく普通に人が生活する町なのです。

 そして町並みが小さいことが、散歩をするのにちょうどよく、とてもいい環境です。 願わくば、この先も余り商業化されずに、このままの状態で街並みが維持され続けることを希望みます。

 何より素晴らしいのは、旧街道に面していて、どこからでも九頭竜川が眺められることです。もし、街道筋に古風な旅館や、ペンションでもあれば、毎年泊りに行きたいと思います。宿泊施設があまり目立たないように、昔の家のままに観光客の応対をするような設備があれば、観光客にとって最高の場所になるでしょう。

 

 三国は、日本海がありますし、海水浴場もあります。しかも九頭竜川があります。これは大きなセールスポイントを備えていると思います。今でも蟹がたくさん取れて、毎年秋冬には蟹を食べに来る人がたくさんやって来ます。いいですね。羨ましいです。福井は食べ物に恵まれています。

 私は、特に九頭竜川の景色が素晴らしいと思います。水は綺麗ですし、護岸が低い堤防のみで、町のどこからでも川が眺められるのがいいですね。向こう岸もほとんど開発されていなくて、昔のままなところが素晴らしいです。

 せっかく福井に新幹線が引けても、福井の町中にはあまり観光名所が無いように思います。そうなら、福井市内の川筋から定期船を出して、水上バスで三国湊までつないではどうでしょう。船から眺める川筋は緑も多くて、とても快適だと思います。

 また、屋形船を持ってきて、舟遊びをしたら洒落ています。船の中でカニを食べたり、ブリシャブをしたりして、冬は炬燵を入れて鍋などしたら風情があります。酒を楽しんで、景色を眺め、そのままお客様を福井の中心街まで送って上げたならこれは最高の贅沢です。

 私がまだ高校生の頃は、隅田川沿いに料亭が何軒かあって、その料亭から屋形船を出して、座敷遊びに飽きたお客様が船を浮かべて、芸者や芸人を船に乗せて、隅田川で遊んでんでいた人がありました。それは贅沢な遊びで、私も一緒に船に乗ってとても楽しかった記憶があります。

 但しその頃は隅田川東京湾も汚れていて、とても窓を開けて食事をすることが出来ませんでした。今は水もきれいになりましたので、東京の屋形船は大にぎわいです。

 これを三国に持ち込んで、船の中で鍋を食べる遊びなど流行らせたら、面白がって観光客が来るのではないでしょうか。せっかくきれいな水と、美しい風景がありながら、それを生かさないのは勿体ないと思います。

 屋形船と言うのは、本来は小さなもので、5人とか10人が乗る小船だったようですが、今は50人から200人まで乗れるような大きな屋形船が作られています。いずれも、床は畳敷きでフラットになっていて、そこに座卓が配置されて、飲食ができるようになっています。今は座るお客様が少なくなって、テーブル形式なっている船が殆どです。

 外観は屋根がついていて、庇にたくさんの提灯が並んでいます。夜には提灯が灯って船に浮かんでいる姿は時代を感じさせてとても風情があります。東京湾などは、夜になると屋形船が何十艘も出ていて、お台場の近所などは船の提灯でまるでお祭りのようなにぎやかさです。

 私は度々屋形船の船宿から依頼を受けて手妻を演じています。食事をする以外用事のないお客様に芸をお見せしますので、皆様集中してくださって、演じていてやりがいのある場所です。

 こうした座敷遊びの拠点に三国が育っていったなら面白いと思います。まぁ、何にしても、今ある町並みを生かして、あまり大きな資本を投入しないで、静かに活動を続けて行けば、三国は、京都や、金沢とは全く違った観光地となって、人気が上がって行くのではないかと思います。

 と言うわけで、この先も私は度々三国を訪れることになると思います。その都度三国の情報を申し上げますので、しばしお待ちください。

 

 6月3日は、午前中から、天一祭の打ち合わせをしました。地元のプロマジシャン、空さんと、サイキックKさんとの三人で、駅前の喫茶店で長い話をしました。打ち合わせは1時間ほどでしたが、その後色々雑談をしました。余りゆっくり話をすることもありませんでしたので、こうした時間は有意義でした。

 長くマジックの世界で生きていると、同じ世界で活動していても暮らしの仕方やショウの仕方がまるで違います。長い活動を経て今日に至って見ると、すっかりマジックの仕方も、生き方も変わってしまいます。

 然し、マジックに対する愛情は変わりません。古いマジシャンの名前が出てくると、懐かしく、若いころの気持ちが甦って来ます。楽しかったマジックの思い出をこの先どう次の世代に伝えて行くのか、それが我々の仕事です。天一祭は、9月22日(日)、14時から開催(予定)。

詳細は追ってチラシを送りします。今回は駅前の劇場を借りて開催します。

 打ち合わせのあと、ビルの上にある会場を尋ねました。まだ新しく、設備も素晴らしいものでした。観客数は250人くらいでしょう。見やすいいい舞台です。今年も素晴らしい公演になるでしょう。

続く