ハイブリッドの勝利
昨年のトヨタ自動車の純利益が5兆3千億円だったそうです。売り上げではありません、純利益です。日本の歴史上これほどの利益を上げた会社はありませんでした。世界に約200カ国の国がありますが、その半分以上の国々の国家予算が5兆円に届きません。一国の国民がみんなで働いて納めた税金が、トヨタ一社が作り出した利益に及ばないのです。
トヨタはすごいとか、大したもんだと言う賞賛の言葉はいくらでも聞きます。でも、ほんの数年前までは、テレビニュースや、新聞では、「このままではトヨタはつぶれる」。とか「世界のEV産業の大きな波に乗り遅れている」。と言われて物凄い批判をされていたのです。
世界の大きな流れがEV車に移って行き、欧州ではガソリン自動車が販売禁止になっるだとか、ガソリンスタンドが廃止になる。などと言う話が流れ、欧州の自動車メーカーはこぞってEV車に乗り換えると宣言していたのです。フォルクスワーゲン社などは「もう、ガソリンエンジンは作らない」。と宣言してしまったのです。
それは日本国内でも同様で、本田も同様に「ガソリンエンジンの製作をやめる」。と言ってしまったのです。驚きです。まるで世の中がEV車を次世代のトレンドの如く捉えて、EV車を作らなければこの先生きては行けないと妄信してしまったかの如くでした。
それに対してトヨタは、「EV車はまだ解決しなければならない問題が山積している。単にCO2を削減するためならば、ハイブリッドカーでも十分対応できる。EV車に移行するにはリスクが大きすぎる」。と言っていたのです。
しかし一度火が付いた流行は世界中にに広がり、自動車メーカーはどこもEV車を作るようになりました。然し、EV車はそもそもバッテリーそのものに問題があり(とてつもなく大きなバッテリーを車に乗せ、しかも3年でそっくり交換しなければならない。そしての廃棄となったバッテリーの廃棄場所がないなど)解決しきれない問題がたくさんあったのです。
実際にEV車を使うとなると、充電スタンド(ガソリンスタンドと同じ)の数があまりに少なすぎる。その上、一台当たりの充電時間が時間がかかり過ぎる。しかも、一国の自動車が全てEV車になったら、今の一国の電力では賄えない。そのためにはいくつもの発電所が必要になる。そのすべてが原子力発電になるのか、火力発電になるのかはわからないが、仮に火力発電になるなら、結局CO2の排出量は変わらないか、むしろ増えてしまう。そうだとしたなら、世間が大騒ぎして、CO2を廃止するためにEV車を普及させる意味があるのかどうか、果たしてEV車は地球にとっていいことかどうか。
つまりあらゆる点においてEV車は問題だらけだったのです。そして多くのEV車の問題が露呈したのは、昨年冬の大寒波でした。欧州や北米全体に寒波が広がり、多くのEV車は寒波のためにバッテリーが消耗し(寒さが強いとEV車は通常の何倍も電力を消費します)、雪道で身動きできなくなりました。失われた電力を補おうと充電スタンドを探しますが、充電スタンドがなく、結局凍死者が続出しました。
まさかまさかの事態でした。金持ちはすぐにトヨタ車に買い替えて、ガソリン自動車に戻しました。金のない人達もローンを組んでトヨタを買い求めたのです。そうした結果、トヨタ自動車の売り上げが爆上がりして、今回の利益を生んだのでした。
元々欧州の自動車産業は、日本車に追いまくられているために、この先の危機感を持っていました。仮に現状のままでは日本車を超えることが出来ません。更に、ハイブリッドに移行するとなるとトヨタの後塵を廃さねばならず、どっちにしても日本のメーカーの勝ちになってしまいます。
そこで、起死回生の一手としてEV車に打って出て、日本に先駆けてEV車を開発すれば日本車を追い抜いて、欧州、アメリカが自動車産業の首位を奪還できると思い込んだのです。そして、各国政府を動かして、補助金を貰ったり、ガソリン車の廃止の方向に動いたり、全くやらなくていいことを世界的な規模で大改革?したのです。改革は結果として大反動となり、欧州各国と自動車メーカーを大混乱に陥れてしまいました。
欧州各国は、早々に法律を改正してガソリン車を認めるようになりました。逆にハイブリッド車は爆発的に売れています。欧州各国の自動車メーカーは青息吐息です。同時に、欧州の流れに追従した中国や韓国のEV車も売れ行きが激減しています。
EV車によって日本の自動車メーカーを葬り去ろうとした、欧米中韓の自動車メーカーはどこも当てが外れて赤字になっています。
マスコミは、今更ながら手のひら返しをして、トヨタをほめちぎる記事を載せていますが、トヨタはマスコミをはっきりと毛嫌いしています。もうテレビや新聞に広告は載せないと言っています。マスコミが、自動車産業の広告が取れなければ損害は膨大なものになります。うっかりすると新聞社やテレビ局が倒産するかも知れません。然し、もうトヨタはそうした既成の組織を信用しないでしょう。この先は独自の道を行くのではないかと思います。
数年前、トヨタは、未来都市を構想して、テレビで宣伝していました。でも、今となっては、都市ではなく、一国を作ることも可能だと思います。どこか立地の良い国を探して、国と交渉して、トヨタの工場と社員をそっくりその国に移したほうが活動しやすいのではないでしょうか。
もうマスコミを相手にせず、パーティー券問題一つ満足に解決できない自民党も相手にせず。既得権にしがみついてがんじがらめになった日本に見切りをつけて、全く独自に道を進んで行かれた方がいいのではないかと思います。私がトヨタのオーナーならばさっさと日本から引っ越します。いやいや、トヨタが私を応援してくれるなら、私も一緒に出て行きます。何でもします、手妻を捨ててカマキリの格好でマジックもします。
続く