手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

東京見物

東京見物

 

 昨日(8月22日)は午前中から峯村健二さんと、奥さんのやす子さんをお連れして、東京見物にご案内しました。前々から峯村さんと約束をしていたことで、たまたま峯ゼミの翌日、一日日程が空いていたので、半日を楽しみました。

 まず峯村さんが泊っている六本木のホテルに9時40分に私の運転するプジョー3008でお伺いし、観光スタートです。プジョーはもう3年近く乗っています。小さな車ですが、よく走ります。次のシトロエンフラグシップカーが出来るまでのつなぎにと思って乗っていましたが、最近のバッテリーカーの台頭で、ガソリン車はもう作られなくなる可能性があります。あの雲の上を走るような乗り心地は永久に戻っては来ないのでしょうか。残念です。それでも、今のプジョーは運転することには何の問題もありません。きびきびしていていい車です。

 昼に食事をするまで、どこを散歩しようかと考えましたが、先ず六本木に近い原宿に行くことにしました。

 空は曇り。ひょっとっとして雨が降る可能性もありましたので、すぐに車に戻れるような距離で、様子を見ながら原宿の表参道を散歩。幸い夏にしては涼しげで、散歩日和でした。参道を歩きながら、プチパリの雰囲気を味わい、途中喫茶店に入り、ゆっくりコーヒーを楽しみました。大人の観光はあまり細かなスケジュールを組まないほうがいいと思います。疲れたならすぐに休憩をして話を楽しんだほうがいいでしょう。

 そこから今度は日本橋に向かいましたが、途中、東京駅近くの再開発したビジネス街に車を止め、ニューヨークのビル街のような雰囲気を楽しみました。この通りは有楽町~永代通りと交差するまで、2㎞ほども続く通りで、日本中の企業の本社が連なる高層ビル群です。この10年くらい前から再開発されて街全体が重厚にコーディネートされて日本企業の巨大さを誇る通りが出来ました。

 途中見える東京駅も、ここから見るとその威容が良くわかります。東京駅は改装してとても良くなりました。通りは、まだ勤め人が働いているさ中ですので、人通りは少なく、広い道をまるで貸し切った如くゆっくり散歩しました。

 12時、日本橋へ、初めに神田に行き、砂場で元祖の天ざるを食べました。私のブログには再々登場する老舗の蕎麦屋ですが、ここの卵焼きと、天ざるで一杯やるのが私の楽しみです。蕎麦好きの峯村さんにはぜひ一度お連れしたい店だったのですが、毎回の峯ゼミは日曜日開催ですので、砂場が定休日でお連れできませんでした。今回は月曜日で幸いでした。

 そして車で日本橋室町に、先ずアゴラカフェに行きました。我々が毎週マジックショウをしている場所です。月曜日でしたからショウはありませんが、早稲田康平さんがランチのお客様相手にクロースアップをしていました。舞台の作りなどを峯村さんに見てもらい、その後一階の千疋屋さんに入り、フルーツタルトを注文。これはやす子さんの希望で、タルトを食べることになりました。

 銀座のキルフェボンに行こうか、千疋屋に行こうか迷いましたが、 最高級のフルーツで出来たタルトを食べるなら千疋屋がいいでしょう。きっと満足してもらえると考え、千疋屋さんを選びました。結果は正解でした。とても喜んでいただきました。さてここまでで2時でした。

 このあと私の用事で浅草合羽橋の道具街に行き、塗りの盆を買い求め、更に、弟子の大成のために一門名札の文字書きを看板屋さんを訪ねて依頼しました。こうした職人の住む町にお付き合いさせてしまいましたが、私が日頃歩き回っているのはむしろ浅草や蔵前あたりが多く、昔からそのあたりに住む職人に、道具つくりを依頼しています。これもまた、東京駅のビジネス街や、日本橋とは違って、味わいのある街です。

 そこまで済んでから浅草寺にお参りに行きました。一時コロナで火が消えたように寂しかった浅草ですが、このところ観光客が復活して来て、なかなかの賑わいでした。

 帰りは五重塔の脇からぶらぶら映画街まで歩いていると、やす子さんが東洋館に興味を示し、中に入りたそうにしています。そこで三人で入って行き、ちょうど石黒よんぺいさんが出演していたので客席で見物しました。今年3月の田代さんの会(帝国ホテル)で石黒さんぺい。よんぺいを拝見して以来です。

 この人は自ら16歳だと言っていますが、どう見ても30過ぎのおっさんに見えます。喋りのギャグも、顔つきもどう考えても16歳には見えません。もう少し若々しい芸を見せればいいのにと思いますが、今日この場で見る限り、東洋館には嵌っていました。どんな芸人も嵌る場所があるのですね。

 

 東洋館を後にして、車で東京駅に戻ります。時刻は4時。6時間の観光でした。なかなか東京に数んでいても、観光する目的で東京の街を歩くことはめったにありません。ときに、町を客観的に眺めるのも大切です。なかなかに面白い街だと再認識しました。

 出来ることなら博物館や、ショッピングにもお連れしたかったのですが、なんせ数時間の観光でしたから、目いっぱいの企画でした。でもこの先何度も観光の機会は出来ます。又いいお店にお誘いいたします。

続く