手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

人口減少 所得減少

人口減少 所得減少

 

 マスコミも経済雑誌にも、日本の人口減少と所得減少を大騒ぎしている記事が目立ちます。私は今の社会が良くないとは思えません。確かにコロナで経済が動かないのは問題ですが、それは世界中同じことです。

 少なくとも、私が今まで生きて来て、この10年は日本は一番うまく行っていた時代なのではないかと思います。バブルの時は確かに好景気で、仕事も多く面白い時代でしたが、今見ると異常な時代でした。その後の20年はバブルのつけで日本中がしょぼついてさえない時代が続きました。そこからようやく脱して、この10年は国が安定して来て、物価も安く、バブル期のような贅沢は出来ないまでも、みんな生活が出来ていたようですので、いい時代だと思っていました。

 無論、世の中の矛盾や差別はいくらもあるでしょうが、世界中の国々と比べて、そうそう悪い状況ではないのではないかと思っていました。

 

 ただ、この先は、日本の経済は下がると言う人があります。昔のように、トヨタや日産、と言った自動車会社がこの先もどんどん売り上げを作って行けるかどうかわからない。ソニーはゲームの方向に進んで成功しているものの他の家電メーカーはどこも振るわない。コンピューターや、携帯は出遅れている。と、経済誌の記事は書いていますが、本当にそうなのかどうか、私にはわかりません。

 しかし、半面、日本は巨大な金融資産を持っています。世界中の国々に多くの金を貸しています。現にアメリカの債権を日本は世界一所有しています。世界中に工場を所有していますし、特許の件数もものすごい数を持っています。つまり、世界中に不動産と特許権を所有していて、その収入で一国が賄えるほどの利益を上げています。

 

 まだ二十代の頃、1970年代にイギリスに行ったことがありました。その頃のイギリスは、不況のさ中で、売るべき品物がない、労働者はストばかりして、経済が停滞している。イギリスは沈みゆく国家だ。なんて言われて駄目な民主主義国家の悪いお手本のように言われていたのです。

 ところが、実際にイギリスに行ってみると町は活気がありますし、人々は贅沢な生活をしていますし、少しも貧しい印象がありませんでした、そればかりか、当時の日本が

経済力で注目されるようになって、羨望のまなざしで見られていたにもかかわらず、イギリスの様な豊かな生活水準に達するのは相当先の話だなぁ。と思いました。

 イギリスが国が豊かだったのは、長らく繁栄を続けてきたおかげで海外に資産をたくさん持っていて、金融業で成功していたためです。

 私はあの時のイギリスを見て、今の日本を思うと、「あぁ、日本はあの時のイギリスのような状況に来たのだなぁ」。と思います。その後もイギリスは先進国から転落することなく、今も活躍しています。但し、かつて世界一富裕だった国は今は順位を下げています。戦前のように世界中に植民地を持っていた時代と今では当然国力は違います。今となっては日本よりも小さな国の中で、経済活動をしているわけですから、国の順位が下がるのは当然です。それでもイギリスは豊かです。

 日本も、そろそろ、日本の本当の国力がどのあたりにあるのか、狙いを定めたほうがいいと思います。今は世界第3位のGDPを持っていますが、国のサイズと、国力を考えたら、もう少し順位は下がっても別段問題ないのではないかと思います。

 

 また、人口減少の問題も同様です。人が減ることは確かに経済力が下がりますし、うまく行かない問題がたくさん出て来ます。然し、ここはようく考えたほうが良いと思います。

 例えば、ドイツは日本よりも少し小さいくらいの国土です。人口は9000万人です。ドイツは日本と違い国土のほとんどは平地です。平地に暮らす9000万人と、山間部の隙間に暮らす1億3000万人ではどちらが暮らしやすいかは明らかです。仮に日本の人口が9000万人に減ったとしても、今のドイツ人よりは狭い土地でに生きなければならないのです。人口減少は日本人が豊かな生活を送るためのチャンスだと思います。

 先ず、先進国の国民でありながら、毎日中央線や山手線のようなぎゅうぎゅう詰めの電車に乗らなければならないことが異常です。こんな生活を日常強いられている国民は先進国にはないのです。しかもアパートがまた悲劇的です。六畳一間に小さな台所とトイレ風呂が付いて6万5000円だの7万円だのと言う金額が異常です。狭さのサイズが世界の常識を超えています。勤め人が15万円20万円と給料をもらいながら、実際そこから7万円も支払って、手に入る住まいが六畳一間では、あまりに悲しすぎます。結局今の日本では働いた分に見合う生活が保障されていないのです。

 「仕方がないよ、国が狭いんだから」。「人口が多いんだから」。本当にそうでしょうか。例えば、東京から70キロも離れれば、住む人もなく、空き家になっている家はたくさんあります。そうした家はほとんどただ同然で売られています。

 日本にも広い家はたくさんあるのです。要は空き家と仕事場が結び付いていないのです。まず国や地方自治体の機関は地方に移したらどうでしょう。ひところバブル期に遷都の話で盛り上がっていましたが、バブルが弾けたら誰も何も言わなくなってしまいました。むしろ今こそ遷都のチャンスです。

 仕事がない、人がいないと言う土地に仕事を持って行けば広い住まいで、人は安心して暮らせるでしょう。なおかつ都内で空いた土地には広いアパートが建てられます。何も町の中心に役所などなくてもいいのです。東京都や神奈川県などと言う小さなくくりの自治体はやめて、関東県にして、県都は千葉の御宿(おんじゅく)あたりに持って行けば、地域の人たちは仕事が増えて喜びます。国会議事堂は群馬県水上温泉あたりに持って行ったらどうでしょう。温泉が不況で廃墟になった地域に国の機関を持って行けばみんな喜ぶでしょう。議会を済ませた議員はすぐに温泉は入れて疲れが取れます。

 日本に土地がないと言うのは嘘です。みんなが同じところに住もうとしているから土地がないのです。日本の人口がドイツ並みの9000万人になって、仕事を地方に分散すれば日本は今以上に住みやすい国になることは間違いありません。そのために人が減って、それによって国の生産力が落ちたとしても、日本人一人一人が今以上に豊かに暮らして行けるならそれでいいではありませんか。

続く