手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

日々あれこれ

日々あれこれ

 

15日は玉ひで公演

 今週15日(土)は玉ひでの公演です。人形町の鶏料理屋、玉ひでさんで毎月手妻の公演をしています。当初は、インバウンドの観客を当て込んで企画した公演ですが、コロナの影響で思惑が外れました。それでもずっと続けています。

 私や、前田の手妻を見せることがメインですが、他にも若手マジシャンを何本か入れて賑やかに演じています。今回はカズカタヤマさんと早稲田康平さんが出演します。また、穂積みゆきさんがご祝儀に舞踊を披露します。

 玉ひでさんは日本で初めて親子丼を考案した店として有名で、使われている鳥はブロイラーではなく、しゃも肉を使っています。通常食べている鶏肉よりも少し歯ごたえがあります。

 然し、その分しっかりとした味わいがあって、存在感のある肉です。これにとろとろの卵がたっぷりかかっています。甘辛い下町風のたれが合わさって、これぞ江戸前の味です。

 普通に昼時に並ぶ十1時間2時間待ちなのですが、手妻の公演をご覧になる方のみ、裏口からエレベーターで3階まで直接入れます。ご予約下さればすぐに食事が出来ます。

 12時から食事、12時30分からショウスタートです。お食事付き5500円。お食事なし2500円です。詳細は東京イリュージョンまで。03-5378-2882

 

峯ゼミ盛況

 今月で最終回を迎える「峯ゼミ」は、2月から新規にシルクの演技指導が始まります。前回までの実績を踏まえて、既に13名の参加者が集まっています。

 前回は、四つ玉のレベルの高さに参加者みんな驚かされました。数日前のコンテストにも、部分的に生かしている人を見ました。いいことだと思います。きっちり習うとやっているレベルが明らかに変わってきます。

 しっかりとした考え方のもとに演技を作るのと、ただ思い付きで演技をするのとでは、演技の完成度がまるで違います。今の自分の演技をもう少しどうにかしたいと考えている人があるなら、是非とも峯ゼミに参加することをお勧めします。

 大阪の峯ゼミは2月から開催。内容は四つ玉をします。今のところ3人の参加者です。もう少し集まるといいと思います。関西にお住まいで、スライハンドを基礎から、高度なレベルまでしっかり学んでみたい。また、四つ玉に興味がある方はぜひご参加ください。とても価値あるレッスンです。

 

ミラビリア完売

 マジック雑誌ミラビリアは、当初、和泉さんが売れるかどうか心配していましたが、どうやら完売の勢いです。私も10冊仕入れてマジックセッションの受付で販売しましたが、売り切れました。

 当初和泉さんは年に一回か二回発行すると言っていましたが、年に一回では人の噂にもなりません。せめて年4回出さなければだめでしょう。遠慮しないでどんどん刷ってください。

 今までのマジック雑誌と比べると、レイアウトもきれいですし、種明かし本になっていないところが洒落ています。

 巻頭にいきなり東さんの昔話が出て来ますが、これも後々になれば貴重な資料です。戦後(昭和20年)から、今日までマジックを見続けてきた人はもういなくなりつつあります。

 そうした昭和史と、MKさんのようなニューウエーブが同時に紙面に載ることがまさに現代のマジック界なのでしょう。なかなか読み応えのある一冊です。ご興味あって、まだお持ちでない方はプレイフェアに連絡をしてみてはいかが。

 

 その小野坂東さんが9日のコンテストと、晩のショウに来ていて、ずっと見ていました。東さんは88歳です。もうあまり外出しなくなっているようですし、何かあったら心配です。あとで電話をして感想を聞いてみると、楽しかったそうです。

 コンテスタントの演技にも一人一人感想を述べていました。長らくFISMのアドバイザーなどをしてきた目で日本のマジック界を見ると、まだまだ日本のマジックは成熟しているとは言えないと言います。

 「何にしても、マジシャンの出演場所が少なすぎるのが日本のマジック界の発展を妨げているよ。この先は何としても専門劇場が必要だ、藤山さん頑張って劇場を建てて下さい」。と懇願されました。

 そう言われて、「はい、それなら一つやってみましょう」。と言えるなら大したものですが、そこまでの力が私にはありません。何とか、座高円寺並の劇場を持ちたいと、日々考えてはいますが、いまだ実現できません。

 今は一回一回の催しで実績を作ってお客様を少しでも増やして行くことに専念しています。先ずは興味を持って押しかけてきてくれるお客様を作らない限り、いくら立派な劇場を持っても、維持できません。

 マジックの催しと名が付けば、必ず一定数のお客様が集まるようにして行かなければいけません。それは例えて言うなら、サーカスの観客動員方法と同じです。サーカスは個別の演目がいいから人が集まるのではなく、サーカスと言う言葉の響きで自然とお客様が自分でイメージして、自然と集まるようになっているところがサーカスの強さです。

 マジックも同様です。マジックと聞いただけで、大人も子供もうきうきして集まってくるようでなければいけません。そんな雰囲気が日本に定着したなら、マジックはよりポピュラーになり、安定して公演して行けるでしょう。何とかそうなるように、今後も活動して行きます。

続く