手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

地震の恐怖

地震の恐怖

 

 一昨日の地震は、私の家の近所ではまるで影響がなかったのですが、東京の東寄りの地域では電車が止まったり、ところどころ水道管が破裂したりして、少なからぬ影響が出ました。千葉県で震度5、東京で震度4だったそうです。

 震度5と言うのは災害と呼ぶには微妙な数値で、棚のものが落ちる程度で、家の倒壊などは先ず起こりません。

 私の家は、完全に東西南北が取れていて、家が東西に揺れたときは、震源地は千葉か茨城です。南北に揺れると東北、北海道です。南西の方角の揺れですと伊豆半島の場合もあります。どちらも横揺れの時には大したことはありませんが、時として初めにズンという地鳴りがして、地面から湧き上がるように突き上げが来たり、逆に沈み込んだりすると大地震のサインです。

 10年前の東日本大地震の際には南北に揺れましたが、その揺れ幅が大きく、しかも長かったので、「これは相当大きな地震になる」とすぐに判断しました。先ず、窓を開けていざというときの逃げ場を確保しました。

 ビル内での地震の怖さは、地震でビル自体がゆがんでしまい、窓やドアが開かなくなる時があるのです。いざ逃げる段になってドアが開かなければパニックになります。その上、階下から火が上がってくるような場合は、逃げられないまま焼死することもあります。

 そこで、地震と同時に窓を開け、ドアを開けるようにしています。もしビルの柱がめりめり言って、コンクリートが剥がれ落ちて行くようなら、それは倒壊の可能性があります。

 その場合はすぐに部屋を出て、外に逃げなければ危険です、ワンフロアがそっくり押しつぶされる可能性があります。小さな雑居ビルの一、二階で食事をしているときなどは要注意です。

 デパートや大きな会社の入っているビルが押しつぶされる可能性は少ないと思いますが、それでも阪神大震災の際のすぐ後に、神戸を通ったときには、デパートも、大きな会社のビルもつぶれていました。こんな時は初動の一分以内が生死を分ける勝負になるでしょう。

 話を戻して、10年前、当時私は家の近所のビルに事務所を借りていて、そこの事務所で被災しましたが、南北に置いてある棚の物がみんな落ちてしまい、働いているスタッフが机の下に隠れて怖がっていました。然し幸いみんな無事でした。この時は震度5弱だったように記憶しています。

 家の様子を見に行くと、女房も娘も無事でしたからよかったですが、家の棚の物がみんな落ちていて、私が趣味で集めた備前焼薩摩焼、有田焼や九谷焼の食器がみんな割れてしまいました。全国に仕事に行くたび少しずつ買い揃えたものです。

 人が訪ねて来ると、凝った皿に酒の肴などを並べて出すのが私の自慢でした。気に入っている物もたくさんありました。が、どれも処分しました。返す返すも残念でした。

 

 話を始めに戻して、一昨日の地震は初動が少し大きかったので、これはひょっとしてと思いましたが、横揺れのままでしたのでそう大したものではないと判断しました。

 前にブログでお話ししましたように、私は、大きな災害の時に、亡くなった親せきや知人が災害の数日前に夢に出て来ます。何かを言うわけでもなく、ただ不意に現れます。そうすると大きな災害が訪れます。

 但し、一年前、亡くなった知人が夢に現れたので、ひょっとしてと思い、「地震が来るかもしれない」。とブログに書いたのですが、小さな地震があっただけで何も起こりませんでした。私の夢のお告げは全然価値がありませんでした。

 以来、夢のお告げをブログに書くことはやめました。今回の地震も当然のことながら夢のお告げはありませんでした。

 

 マジックをしていると、トリックなしで、様々な能力を持っている人に興味を感じます。例えば、予知能力を持っている人がどんな時に予知を感じるのか、興味が尽きません。

 常に予知を感じるわけでなく、感じたり感じなかったりムラのある人も多いようです。そうなると本当に予知能力があるのかどうかも怪しいものです。あてずっぽうで言っても十回に一回くらいは当たるからです。

 私が子供のころから関東大震災が来る、と言っていた人が何人もいました。また富士山が噴火すると言った人もたくさんいました。然し、未だ関東大震災も、富士山噴火も起こりません。あの人たちはその後一体どうなったのでしょうか。嘘つき、ほら吹きと言われて世間の片隅で生きているのでしょうか。

 でも、その時外れたからと言って、その人に予知能力がないと言い切れるでしょうか。自然災害なら、10年20年ずれることは普通にあるはずです。もし10年ずれて当たったのなら、ご当人には気の毒な予言です。

 ノストラダムスの大予言も、一時大ブームで本がバカ売れしました。空から隕石が降ってきて地球を破壊する、と言う災害はついにやって来ませんでした。

 

 明治の末年に、地球に巨大な隕石が接近して、隕石の火力で地球の酸素が無くなると言うデマを流した人がいました。世間は一時騒然となって、自転車屋さんのチューブがバカ売れしたそうです。チューブに空気を詰めておけば、それで息が出来ると当時の人は考えたようです。酸素は何度も吸えると思っていたのです。平和な時代です。

 

 もし確実に予言が当たると言う人がいるなら、ぜひ会ってみて話を聞きたいと思います。そこに法則があるのかどうか、何かサインがあるのかどうか、そしてなぜその人にだけ予知能力が備わっているのか、是非知りたいと思います。

続く