手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

峯ゼミ始動

峯ゼミ始動

 

 ようやく峯村健二さんの定期指導が始まります。「峯ゼミ」と題して、東京神田で、少人数集中レッスンを開始します。7月4日(日)の13時から、毎月一回、6か月、6レッスン。みっちり、スライハンドの基礎から高等な技法まで指導をします。

 技法や種仕掛けを教えることも重要なのですが、そもそもスライハンドとは何なのか、と、基本的な考え方からじっくり語って、実践を学んで行くのが今回の狙いです。

 私は、私の人生の活動の中で、私自身の舞台活動の他に、マジック界のために何としてもやっておきたかったことが三つあります。以下お伝えします。

 

マジックセッション

 すなわち、優秀なプロ、アマチュアを交えて、演者をピックアップして、毎年マジックショウを一般向けに開催する。これは現在、ヤングマジシャンズセッションと言うタイトルで、東京と大阪で開催しています。『大阪は11月26日道頓堀ZAZA にて開催。東京は、2022年 1月8日(土)9日(日) 座・高円寺にて開催』

 これは現在目的が達成されましたが、ゆくゆくはこれを発展させて、優れた海外のゲストを交え、東京、大阪で各3日間くらい開催し、他に、名古屋、福岡、仙台、福井(天一祭)、などの催しと連携して、日本全体で10日間くらい公演をして回り、見応えのあるショウを日本各地で開催してゆきたいと考えています。

 私がマジックセッションを思い立ったのは、毎年、毎年優れた若い人たちがマジック界に出て来るのですが、彼らにコンテストのチャンスはあっても、出演のチャンスがありません。せっかくコンテストに出ても、次の舞台チャンスが翌年のコンテストと言うのでは上手くなりようがないのです。

 もし優秀な成績を収めた若い人に、いきなり年間10本の出演チャンスを与えたなら、彼らはそこから多くのことを瞬時に学び取るでしょう。みんなで日本中を公演して回れば、仲間同士が影響されあって、一回のコンテストの入賞よりはるかに知識は豊富になるでしょうし、経験も深まります。生の舞台に出るチャンスは、芸能の上達を早めるのです。

 舞台に出るチャンスがないと言う人たちのために、舞台の場を作るのは私の仕事です。そこでマジックセッションを開催しているわけです。

 

劇場建設

 劇場建設となるとおいそれとは達成できません。然し、一年中マジックを見せる劇場があると言うことはマジック界を大きく発展させます。今、頻繁に利用している、座・高円寺クラス(250人)規模の劇場を所有して、年間200公演くらいマジックが開催できたなら、マジックを一般客にアピールすることも可能ですし、マジック界からスターを生み出すことも可能です。この先、マジック界を大きく発展させることが出来るでしょう。

 それには、1~3階までを劇場にして、4階から8階までをテナントや、アパートにして家賃収入を上げて、その収入で劇場を運営できれば安定して劇場を維持できるでしょう。

 建設費用はどれくらいかかるでしょうか。7億くらいでしょうか。何とかその費用を作って劇場を建設したいと思います。そのために私は、毎回ジャンボ宝くじ(一等10億円)を1万2千円分買っています。「そんなことでは永久に劇場なんてできない」。とお考えでしょうか。いえいえ、何を仰います。

 目的もなく、行動もせずに漠然と夢を思い描いていても何も達成はできません。何もしないよりは宝くじでも買えば目的は一歩近づきます。私は強運の持ち主なのです。私がひとたび目的を持って、行動すれば、必ず目的は達成できます。

 

指導の確立

 そして3つ目が指導の確立です。実はマジック界で最も遅れているのがこの部分かも知れません。「誰が」、「どういう風に」、「何を教える」か、がまったく確立できていないのです。手品の種を知っている人が、手品を教えることが指導ではありません。それは種明かしにしかなりません。指導とは人を導き、行く先を指し示すことです。

 この人をどう教え、どこに持って行こうとするのか。そこが明確でないものは指導ではありません。適当に30、50種類の手品を教え、あとは自分で適当にやって行きなさい。と言うのは種明かしなのです。

 

 私が優秀な指導家による本当の指導をしたいと考えたのは、今から10年前です。指導家は峯村健二さんがいいと思ったのもその頃です。彼をこのまま眠らせておくのは勿体ないと思いました。峯村さん自身も、UGMのスタジオで、毎月マジックレッスンをしていました。時折その内容を見て、「勿体ないなぁ」、と思っていました。「もっと打てば応えるような人を集めて、一人一人の能力を考えて、スライハンドのエキスパートを育てる気持ちで指導したなら、峯村さんならいい人材を育てられるのになぁ」。と思いました。

 今、ようやく峯村さんは真剣に指導する気持ちになっています。彼から習った人なら、どこのコンベンションに出ても、「あぁ、これはきっちりできている人だ」。と誰もが分かるような演技に育ってもらいたいのです。すなわち、スライハンドのエキスパートを作りたいのです。

 ある意味アメリカのチャベツスクールに近いものと言えます。チャベツの教え方をもう少し現代に直して、現代のスライハンドを模索し、表現できたなら、「峯ゼミ」の存在感は大きく増すことになると思います。

 将来、韓国や、台湾、中国からも指導を求めに来るかも知れません。そこまで考えずとも、東京で定着したなら、大阪でも開催したいと思います。

 毎年、東京で20人、大阪で20人、人が育って行ったなら、日本のマジック界は世界トップクラスになるでしょう。へんてこな、首をかしげてしまうようなコンテスタントも出なくなるでしょう。

 と言うわけで、7月4日から「峯ゼミ」が開催されます。こうした活動を日本では誰一人手掛けないので、私がプロデュースしました。好評なら大阪でも致します。関西「峯ゼミ」を希望されるなら、藤山新太郎のメールにその旨希望をお知らせください。

 7月6日は私も伺います。なるべく私は表に出ないでそっと見ていようと思います。私も、四つ玉も持って行こうと思います。久々10代の気持ちに戻って、基礎を習いたいと思います。

続く