手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

梅雨から夏へ

梅雨から夏へ

 

 ご報告が遅れましたが、家の改築が6月3日に終わりました。およそ20日間かかって、台所、風呂場、トイレ、洗面所が新しくなりました。水回りのすべてが新しくなったわけです。何より、この20日間。工事現場の中で生活をしなければならなかったので、工事が終わってホッとしています。

 下水管の内部に汚れが詰まっていて、随分異臭がしていたようです。31年暮らしてきたのですから、致し方のないことです。やはりここらで工事をするのはやむを得ないのでしょう。それにしても、3階の水回り関連と、壁から床から天井から、そして装置一式が取り換えられたわけですから、どこも新品できれいになりました。

 きれいであるのは気持ちがいいのですが、私が見た分には、風呂の浴槽も、トイレも、別段傷んでいたわけではないので、取り換える必要はないのではないかと思っていました。然し、下水管を直すために床、壁、天井を新品にしたのに、浴槽だけ30年前の物を使うのは嫌なのでしょう。

 結局、浴槽も、トイレも、新規に取り替えました。そして、色はピンク色になりました。女房の判断に任せましたので、致し方ありません。

 女房も娘も喜んでいます。彼女らにとっては、今年は幸せな年になったわけです。無論私も、新しい風呂に入って、のびのび出来て、幸せです。

 

 私は、風呂や洗面所を改築してもそう大した変化はないだろうと思っていたのですが、どの器具を見ても、細かく改良されて使いやすくなっていました。先ず蛇口の形態がそっくり変わっています。使いやすくなっていますし、いろいろな機能がついています。

 洗面所の蛇口は、コックの先でシャワーと通常の水とが切り替わるようになっていて、シャンプーをするときは、蛇口が延ばせて、簡単にシャワーとして洗えるように作られています。私が使うことはありませんが、便利です。

 風呂場の栓も、以前は、栓に鎖がついていたのですが、あの風呂場の栓は、何年か使えば必ず切れます。力を入れて引っ張りますので、細い鎖では持たないのでしょう。今回のは、既に栓がしてあって、鎖がありません。浴槽の隅にボタンがあります。ボタンを押すことで栓の開閉が出来ます。便利です。

 風呂の温度調節も簡単ですし、入浴後にドライのボタンを押せばすぐに浴室が乾燥します。ここに洗濯物を干しておけばすぐに乾燥します。便利です。

 全体に、装置がコンパクトにまとめられて、すべてが小型化されました。洗面所も、コンパクトになった分、床が広くなりました。トイレは、背中に背負っていたランドセルのような水槽が、随分小さくなったために、トイレ器具が10㎝くらい奥に配置出来たため、トイレ室内が広くなりました。

 なるほど、女房が大金をはたいてまでも改築したがったわけがわかりました。この30年間の、水回りの装置は確実に進化していたのです。

 これで3階の改築は出来ましたが、このあと2階、事務所のトイレを取り換えます。然し、しばらく休憩です。今の現状はあまりに道具が部屋にあふれていますので、一度片付けてから、2階の改築をするそうです。

 改築は結構ですが、今の私の家のどこにそんな金があるのか不思議です。女房はよほど30年間で細かく溜め込んでいたのでしょう。幸い、この30年間で誰一人病気になるものはなく、唯一、今年になって私が大腸ポリープを取って一週間入院したのが、病気と言えば病気でした。

 但しこれも手術ではありません。肛門からカメラを入れて、ポリープを取っただけで、実質1時間くらいのことでした。他の家族はまったく入院などしていません。いざと言うときのために30年間溜め込んでおいた入院費用などを、病気でなく、改築に使えたのなら、めでたいことです。

 

 私としても今年は大きな変化の年になりそうです。これから徐々に仕事も上向いて来るでしょう。今まであれこれ仕掛けてきたことの一つ一つが、ようやく日の目を見て、社会の注目を集めそうです。人が動き出して、ショウを求めるようになれば、きっと忙しくなるでしょう。

 世間では、コロナの呪縛が解けて、多くの人がコロナの実態を理解してきたように思います。いい傾向です。闇雲に恐れていてもどうにもなりません。元々コロナは罹りにくいウイルスです。コロナは唾液からの直接感染さえ避ければ、さほど恐れるものではありません。

 まだ、コロナを危険視する医師がいて、オリンピックの開催をやめるように言う人がいますが、今の日本の現状は、アメリカの状況よりずっとましです。にもかかわらず、アメリカではもうコロナは退散したと考えられており、まるでコロナなどなかったかのように、すべてが解放されて、マスクもせずに日常生活を謳歌しています。然しアメリカはまだ日本よりもずっと多い数の感染者が連日出ているのです。

 日本が、今の感染者数で過敏になっていることの方がむしろ奇妙です。飲食店なども、仕切り板を使って、手洗い、検温をしているのですから、何ら問題はないはずです。コロナワクチンも遅ればせながら始まって、接種者が増えています。これからはコロナに対する恐怖心も薄れて行くと思います。

 第一、この先日本は、秋口にかけて観光客を呼ぼうとしているわけですから、それに先駆けて、安全管理をマスターする意味でも、オリンピックによって、海外のアスリートを招くことはいいケースだと思います。安全に気を付けて、オリンピックを開催すれば、人々の長く抑圧されていた気分も払拭できると思います。

 

 19日は玉ひでの公演です。今月は満席、とお知らせすると、申し込みをしようとしたお客様が、7月8月に振り替えて申し込んでいます。コロナの状況下でお客様をお断りするのは贅沢な話です。もう少し、申込者が増えたなら、月に二回公演にするか、昼夜二回公演にしようと考えています。そんな状況がすぐ目の前に来ているように思います。

 世の中がうまく行かないからと言って、泣いてばかりいても成功は来ません。自身を一歩でも前に進める努力をしなければいけません。一歩が無理なら半歩でも前に進んでいれば、成功は必ずやってきます。成功の種などと言うものはささやかなものです。でもそのささやかなことに気付くかどうかが成功につながります。私はそうやってずっと地味な活動を続けて来たのです。今も、そしてこの先も。

続く