手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

森さん辞任

森さん辞任

 

 とうとう世論は森さんを辞任に追い込んでしまいました。女性蔑視、男女平等を叫ぶのは良いことですが、錦の御旗を押し立てて、実際、森さんを辞任に追い込んで何かが変わるのでしょうか、日本人も、或いは世界中の人々も、集団ヒステリーで叫ぶだけ叫んで、森さん一人を止めさせて、それで自身の留飲を下げたとしても、それでおしまいと言ううことになりませんか。

 日本の女性蔑視を解決したいなら、実際の自分たちの勤めている会社や、役所のあり方にこそ問題があるのでしょう。そうなら自分たちの職場の管理職や、会社役員に女性が少ないことを本気で会社に訴え続けて、一つ一つ権利を勝ち取って行かない限り問題の解決は程遠いでしょう。

 問題は我々の隣近所に住んでいる、会社経営者や、会社役員、管理職の人たちの価値観が変わらない限り、何も変わらないのです。然し、人の価値観を変えると言うことはとても難しいことです。

 森さんの後任には川渕チェアマンが内定したようですが、無論、川渕さんなら、人望もありますし、これまでのサッカー界の貢献度などは誰もが認めるところでしょう。

 然し、客観的に見たなら、83歳のお爺さんから84歳のお爺さんにトップが変わり、男のリーダーから男にリーダーに変わったわけで、これで女性蔑視の問題は解決したと言えるのでしょうか。

 

 森さんがワンマンであることは森さんを知る人たちの間では周知の事実なのでしょう。時々おかしなことを言う人であることも、これまでの行動からさもありなんと思います。ならば、そんな人をなぜオリンピックの委員長に据えたのでしょうか。それは、実力があるからなのでしょう。

 森さんをトップに据えたなら、政界も、役人も、財界も、みんなひとまとめにまとめ上げるカがあるから選ばれたのです。仮にオリンピックが中止になるとしても、森さんなら、アスリートや、企業や、スポーツ団体に補助金などを配って、うまく行かなくなった人たちを支援し、大きな損害を与えないようにまんべんなく配慮してくれる人だと読んでいるから、みんな従っているのでしょう。

 オリンピックほど大きな組織になったなら、表でも裏でも相当に多方面にわたって関係者を納得させる手腕を持っていないと組織は運営できないはずです。それができる政治家は日本にそう何人もいるものではないはずです。私は直接森さんにお会いしたことはありませんが、知り合いの政治家から伝え聞いた話では、森さんは周囲の気配りのできる人で、長年の活動実績から、今のポジションにいるわけです。

 今回の舌禍は、森さんの間違いではあったとしても、辞任を求めるほどの問題ではなかったのではないかと思います。謝罪したのだから、この場は収めようと言うのが大人の判断だと思います。

 オリンピック開催間際でのトップの差し替えは、オリンピックの開催を難しくするでしょう。開催されるにしろ、中止になるにしろ、この先日本がうまく行かなくなることが多々発生しそうです。ただ騒ぎ立てるだけでは国が悪くなるばかりです。

 そもそも、SNSでヒステリックに騒ぎ立てて何が解決しますか。話題が海外に波及し、海外でも「女性差別は許さない」。と騒いで、結果、女性尊重を言わなければ、タレントもアスリートも、政治家も、女性の敵のような扱いを受けることに問題があるように思います。

 

 ヨーロッパの国々が、女性差別を叫ぶことは結構なのですが、彼ら彼女らは、自分たちが人種差別をしていることをどう考えているのでしょうか。今回ヨーロッパでなぜこれほどまでコロナが蔓延したのかと言うなら、その根は人種差別にあるのです。

 中東紛争等の影響で、多くの難民が出て、彼らが職を求めてヨーロッパに集まって来ました。ドイツもフランスもイギリスも、人道的な立場から、難民を受け入れました。その行為は立派なのですが、実際国内に彼らを受け入れると、露骨な人種差別を被りました。難民は給料が半分しか支払われないとか、保険に入れないとか、正業に付けないとか、住む地域が限定されているとか。

 そうした中で、アルバイトで生活していると、例えば風邪をひいても休むことすらできません。何日も休めば簡単に解雇されます。変わりはいくらでもいるのです。そのため休まず働いているうちにコロナに感染すると、難民は自分がコロナに罹っていると知っていても仕事を休めないのです。保険もなく、収入も低いため病院に行くこともできません。これがヨーロッパやアメリカで爆発的に感染者を増やしている原因なのです。

 人道支援の名目で、難民を受け入れても、実際には、国民に根深い差別意識が災いして、結果、人種問題も、コロナウイルスも解決しません。今回のコロナウイルスは、ウイルスの問題よりも、人種差別が問題をこじらせているのです。そうなら、いくらワクチンが出来ても、それでコロナウイルスは完治できません。人種差別に聞くワクチンはまだ発明されていないのですから。

 人種差別をするヨーロッパ、アメリカ人たちが、女性蔑視を語った日本政治家を糾弾して何の意味があるのでしょうか。こうして書いていても、この話に関わることのむなしさを感じます。

 

 さぁ、オリンピックを何としても成功させましょう。東京で胸のすくような競技を見せてほしいと思います。50年数前のオリンピックを見た者としては、もう一度人生で東京オリンピックが見られることは幸せです。10歳だった私にとって、オリンピックの催しは忘れることのできないものでした。あれをもう一度日本の子供たちに見せられるなら、きっと子供たちに大きな影響を与えることが出来るでしょう。オリンピックを無責任にやめろと言わないでください。良きことに水を差しては国も人も良き方向に進まなくなりますから。

続く