手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

ZAZA公演と松茸狩り

 

 昨晩、遅くに岡山から帰りました。少し疲れました。それでも休むわけにはいきません。数日東京をあけると、することがたくさんあります。今日は朝から小道具を作っています。何とかアイディアを絞り出して、形にしなければなりません。幾つになっても新作はゼロからのスタートです。

 

ZAZA公演

 10月3日のZAZAの詳細をお伝えします。当日は100人のお客様でほぼ満員。開演前からお客様の熱気が伝わってきました。

 1本目は前田将太。和服で、真田紐、紐ぬけの手順。お終いは傘を出して、当人は気分よく終わりました。

 2本目は、シーナさん、彼女は大阪のプロ。豪華な振袖を拵えて、手妻の、連理の曲を演じました。これからどんどん和の手順を増やして、京都などのお座敷の仕事を取ろうと考えています。

 3本目は、嵯都志さんは京都のプロマジシャン。これまでクロースアップ専門だったものが、ステージを目指し、カード、シンブル、ウォンドの手順を、ウォンドを扇子に変えて、和のテイストを取り入れて手順をまとめました。もう少し細かな部分に自身のアイディアを加えると、かなりいい手順になるでしょう。

 4本目は小網健義さん、京都大学4年生。前回に続いて、四つ玉、カードの手順、然し前回とは大きく変わって、テーブルを使わずに、携帯電話の手順をベースに、カード、四つ玉がうまく取り込まれていました。演技中に電話を充電するところが新しく、学生らしい面白い演技でした。

 5本目は小原優里さん、四国から、香川大学の4年生。セッションに毎回出演していますが、毎回リングアクトです。然し、随分演出を変えて来ました。工夫の跡が見えるところが観客の反応が良い理由でしょうか。

 6本目は薦田天斗(こもだたかと)さん。関西大学の学生さんです。CDのアクトをスピーディーに演じました。学生らしい勢いのある演技でした。

 7本目はまほうの愛華さん。カードや四つ玉、お終いはフィックルファイヤーとカードの連続出しで、サコーさんの指導もよろしく、よくまとまっていました。

 8本目は私の傘出し手順。傘のお終いに人力車に乗って引っ込むところが今回の趣向。お客様に喜んでいただきました。そのあとお椀と玉。じゃべりで演じました。

 ここで休憩を入れて後半。

 9本目は黒川智紀さん。以前見た時よりも小さなアイデアが加味されていて、見ごたえがありました。私個人はあまりアマチュアイズムを押し出した演技は好きになれないのですが、見ているうちに、これはこれでありかなと納得しました。それほど手順に愛情が感じられましたし、しかも演技の出来が良かったのです。

 10本目はキタノ大地さん。今回の公演をずっと司会をしてくださってご苦労様でした。この晩の演技は、小箱から何度もお札の出るマジックをストーリーを語りながら演じました。お喋りは達者ですので心配はいりませんが、よくまとまっていました。

 11本目は峯村健二さん。スケッチブックの手順です。学生向きの手順なのでしょうか。来ていたお客様の内でも学生さんに特に受けが良かったようです。細部に至るまで考え抜かれていて、小さくよくまとまった手順です。

 終わった後お客様は大満足。随分残られて、嬉しそうに出演者と話をしていました。あまり至近距離での接触はできませんが、みんな喜んで楽屋の前に集まりました。

 

 

松茸狩り。

 4日(日)の朝、岡山の社長、高上さんが持っている松茸山に行ってきました。ここは毎年今頃、松茸の取れるシーズンになるとお誘いがあります。新幹線で新大阪を9時に立ち、10時に岡山へ、そこから高上さんの車で岡山県の中央部、羅漢と言うところへ、そこから山に入り、中腹で車を降りて、靴を取り替え、安全服に着かえ、山に入りました。松茸を期待して、1時間半。傾斜のきつい山を這うように歩きましたが、今年はどうしたものか見つかりません。そもそも、10月4日ではまだ早いようです。松茸は20日ころでないと出ないそうです。

 それでも歩くうちに、あみ茸がたくさん生えていましたので松茸代わりに取りました。あみたけはマイタケのような柔らかなキノコで、味噌汁の実にしたり、バターで炒めて食べるとおいしいそうです。それを袋一杯取りました。午後2時に山の中で昼食。太巻き寿司でビールを頂きました。ピオーネのブドウもいただき、その甘さに驚きました。何にしてもビールがここちよく。飲んでいるうちに少し、昨日の疲れが出て来ました。

 更に帰り際に高上さんの知り合いの農家で、シャインマスカットを作っているお宅に行き、高上さんからマスカットを頂きました。今年はシャインマスカットが豊作だそうです。しかも、各企業などから大量の注文があったらしく、この日でほぼ完売したそうです。私はラッキーでした。

 帰りの途中、栗拾いをしたり、ミニトマトを頂いたり、随分お土産が増えて、両腕にぎっしり袋を抱え、岡山を後にしました。

 夜、7時30分の新幹線に乗って、東京は11時に着きました。自宅に戻ると11時40分でした。家族は寝ています。アルコールを飲みたいところですが、家では飲みません。しばらく起きて用事をして、1時過ぎに寝ました。

 今日(5日)の朝は。早速朝食に娘と女房がシャインマスカットを食べていました。頂いたシャインマスカットは特に高級品だそうで、甘みがものすごく強かったです。肝心のあみ茸には一瞥もくれず、マスカットばかりを喜んでいました。

 なんにしても、松茸狩りは不作でした。まぁ、こんな時もあります。また来年行こうと思います。何より、日頃歩かないので、足が弱っています。山歩きは健康にいいですし、山の空気を吸うのはとても爽快です。もっともっと日ごろから体にいいことをしなければいけません。つくづく私は不健康な生活をしていると思います。と言うわけで、関西の旅の3日間は日々充実して誠に幸せでした。

続く、