手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

病院通い 

 今年はどうしたものか病院通いが多くなりました。糖尿病は毎月一回、十五年間、検査に通っています。糖尿と言うものは全く自覚症状がありません。甘いものや酒を飲み続けていると自然自然に体が悪くなります。しかしそうなるまでには時間がかかります。血糖値を守って食事をしていれば問題なく生活ができます。

 尤も、血糖値を維持することが難しく、酒、炭水化物を減らして、甘いものもなるべく食べずに、一日1800キロカロリーを維持しなければいけません。これが簡単ではありません。マクドナルドのビックマックはそれ一つで1200キロカロリーあります。カレーも、かつ丼も、1000キロカロリーです。それを一回食べてしまうと、後の二食はキャベツと、キュウリのサラダで暮らさないといけません。これが辛いのです。

 糖尿病になるような人は、高カロリーで甘い食事が好きなのです。それを抑えて生活することが難しいのです。ご飯などは、一回がお茶碗半分までです。これに耐えることが修行です。但し私は、糖尿病以外、今まで他に病気らしきものが何もなかったのです。ところが、今年になって色々問題が起きました。

 まず浅草で転びました。初めは大したことではないと思っていたものが、左足がどうにも痛くて、舞台で正座がしにくいのです。そこで整形外科に行きました。別にに大したことではありませんでしたが、これが週に一回。病院通いです。そのうち手首が痛くなりました。手首から先が鈍く痛くなって、うまく動きません。これも同じ整形外科のお医者さんに診てもらって注射してもらいました。これは正直困りました。

 すると今度は顔に帯状疱疹が出来ました。これは結構目立ちます。顔の左側、額から左目にかけて水ぶくれが連なってきました。すぐに皮膚科に行き、薬を貰い、約二週間かけて治しました。

 然し、疱疹が左目近くにまで来ていましたので。念のため、眼科に行き、状況を見てもらいました。このため眼科にも何度か通いました。

 帯状疱疹は多分にメンタルな問題から始まったと思います。なんせ、舞台の仕事の依頼が全く来なくなったのですから、どうしていいかわからず、毎日模索する日々でした。こんな大変な時代が来るとは思いませんでした。心の病が顔に出たのです。

 手首の痛みは幸い治ってきたのですが、今度は右肩が痛くなりました。毎日パソコンに向かって書き物をしていますので、右手右肩を酷使しています。腱鞘炎なのでしょう。このため肩にも注射をしてもらうようになりました。こうなると、手首、左肩、左足の関節と、調子の悪い所が続々出て来ました。

 関節注射と言うのは、機械部品に油を指すようなもので、間接に注射をするとすぐに痛みが嘘のように消えます。こんなことならさっさと病院に行くべきだった。と、思うのですが、然し、一週間、10日とするとまた元の状況に戻ります。結局毎週一回通うようになります。どうも医者は、患者を生かさぬよう、殺さぬよう、細く長く年貢を取り立てようとしているのかもしれません。

 

 そして今回は大腸の検査です。いきなり胃カメラを呑むのではなく、今日は説明会だそうです。来週カメラを呑みます。実は私の父親は、65歳の時に大腸癌に罹っています。大手術の末に大腸を三分の一摘出しています。

私が今65ですから、どうも、もしかすると親父と同じ道を行く可能性があります。但し親父は相当調子が悪くなってから入院しましたので、65歳だと言っても、癌は相当早くにあったはずです。私の場合は早期発見の可能性があります。今回のことは、糖尿病で定期検査をしている時に大腸に問題があるかもしれないと知らされて、検診に行くことになりました。

 ものは考えようですが、糖尿病も、こうして毎月一回検査をしていると、他の病気が早期にわかる可能性が高く、それはそれで体の維持に役に立っているのでしょう。これぞ一病息災と言えるかもしれません。

 

 と、ずらずらと病気の記録を書いてしまいましたが、ほとんど病院に行ったことのなかった私が、新しい病院に行くことは楽しみでもあります。何か面白い話があれば、話を膨らませて、皆さんにお話しします。

 

 今日は午前中に検診をして、午後には踊りの稽古に行きます。明日は朝に鼓の稽古。NHKさんのカメラが入ります。そのあと前田の稽古を見て、午後から玉ひでさんのために私の稽古をします。明日は一日中アトリエから出ることはないでしょう。

 明後日は踊りの稽古、そのあと玉ひでさんの荷作り。19日は玉ひでさんでの公演。そしてNHKのテレビ撮りです。毎日用事が多いのは疲れますが、それでも私を求めてくれる人がいるのは幸いです。

 とにかくこれから大腸の検査に行ってきます。検査と踊りの間に時間がありますので、なにかいいものを食べようと考えています。胃カメラの通りを良くしておくために、鰻はどうかなと思います。鰻の油でカメラの通りを良くする。これはいいアイディアだと思います。然し、カロリーが気になります。でもたまには食べたいと思います。

 もしも、仮に、来週、緊急入院などと言うようなことになれば、「あの時鰻を食べておけばよかった」。などと後悔することもあり得ます。そうならないように。鰻の選択は正解かもしれません。まぁ、菅さんも総裁就任したことですし、ガースーの就任祝いと言うことで(何のことだ)。今日は鰻で軽く一杯やります。あぁ、こんなことを考えているから糖尿病になるのです。

続く