手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

大波小波がやって来る 4

 非常事態宣言を出した後で、保障を誰がするという段になって、国と東京都がもめています。他の地方自治体は財源がないと渋っています。私が予測していた筋書き通です。財源がないというなら初めから緊急事態宣言など出してはいけません。

 逆に宣言をしたなら責任を持つべきです。金がないと言うには馬鹿のセリフです。頭のいい人は金がなくても知恵で金を作ります。知恵を働かせれば金はいくらでも生み出せます。自治体の土地財産を担保にして、国や東京都から金を借りたらどうですか。

 千葉や埼玉に金がないなら、千葉は千葉県を担保にして、東京都や国に、金を借りればよいのです。もし返せなければ、千葉の土地を東京都に売ってしまえばいいだけの話です。何も全部の土地を売る必要はありません。ディズニーランドとディズニーシーのを担保に東京都に金を借りてはどうでしょう。野田の醤油工場を担保にしてもいいでしょう。君津の新日鉄も担保にして、サービスにマザー牧場をつけてはどうですか。

 緊急事態に即応できない地方自治体など、あってもなくてもどうでもいい存在です。こんな時に人の役に立たないなら、彼らは給料を取る資格がありません。今、ぱっと金を借りて来て、テレビの前で、札束を並べて、「市民の生活は100%面倒を見ます。一年間の事業と生活の保障をします」。と言うべきなのです。先の見えない時代であるからこそ、今どうすべきかを的確に表現できる人がリーダーとして求められるのです。「金がない、保障は無理だ」。などと平然と言って、責任を押し付け合っていて、何が解決しますか。そんなことをしているとこの先、大不況がやってきます。

 

 多くの人は、コロナウイルスが終息すれば、世の中は元の生活に戻ると考えています。私はそうは思いません。もし今、関東大震災が来たならどうしますか。東海四国に南海トラフ地震が来たならどうしますか。そうなれば日本は立ち直れなくなるくらいの大打撃を被るでしょう。日本は大混乱になります。

 そうなれば確実に東北の地震以上の被害となるでしょう。「大丈夫だ。そんなことにはならない」。と誰が言えますか。今すべきことは、まずウイルス被害で不安におののいている国民の生活保障をして、国民を安心させることです。そして、国は太平洋戦争の時に匹敵するような国債を出して、ウイルス対策と、地震災害対策の両方に資金を投入することです。

 災害対策に費用を投入すれば、一時的に雇用は増しますし、生活は安定します。地震対策はもう少し後にしても、とりあえずはウイルスに対する不安を取り除くことが第一です。政治家が責任をなすり合っているようでは全く政治が機能していないことになります。そんな政治家はいりません。

 こんな時に野党はどうしているのでしょう。ウイルス対策と、地震対策の二本立てで国民に訴えれば、たちまちヒーローです。今、人の気持ちを取りまとめられるような政治家が出たなら、すぐに政権がとれます。何なら私が代わりに新党を起しましょうか。金にも強く、菌にも強い、日本金菌党を近々に立ち上げて、資金に物を言わせ、ウイルスを除菌抗菌し、上腕筋で自民党を叩き潰し、安倍首相とはバイバイキーンをして、金権体質を改め政権を取ります。金菌党党首、藤山新太郎に、資金と一票をください。きっとコロナを撲滅、強く頼りになる国を作ります。

 

 昭和58年、私は東京イリュージョンを立ち上げます。初めは単なるチームでしたが、その後株式会社にしました。チームを会社にしたことは、その後の私の人生を大きく発展させました。キャバレーにこの先、発展が望めないと考えていた私は、キャバレーの仕事をやめます。そして、地方公共団体等を相手に、イベントの仕事をするようになります。当初、イベントの仕事は少ないということで不安でしたが、実際には、ギャラを一気に10倍に引き上げたところ、新しい仕事先は、それでも仕事を持って来てくれました。そのお陰で、月に15日以上働いていたものが、月に4,5本でも、今まで以上の収入になりました。

 ただし、ギャラを上げるということは、それなりに責任も大きくなりました。公共団体は、個人を相手にしないのです。相手が会社組織でない限り、直接の契約はしません。大きな仕事が欲しいと思ったら、自ら会社を興すか、大きな事務所に所属しない限り、公共団体の仕事は手に入らないのです。この点私のチームは会社にしたことで早くから直接仕事ができるようになったわけです。

 しかも、東京イリュージョンと言うチーム名も幸いしました。私は、大きな博覧会のメインゲストになるような仕事がしたかったのですが、地方公共団体からすると、東京○○と名の付くチームなら、明らかに東京から呼んでいることがわかりますので、費用を掛けて呼んでいることがわかります。メインゲストに呼ぶには呼びやすいチームなわけです。そのため地方のイベントでは随分活躍できました。

 

 話は前後しますが、私は57年にマンションを買いました。そして結婚もしました。無論ローンを立てて購入したわけですが、昭和50年代の銀行はなかなか個人には金を貸さなかったのです。ましてや芸人では生活が不安定ですから、ローンが立たなかったのです。また、芸人自身も、稼いだ収入から、源泉を税金として支払う際に、必要経費を水増しして、ためておいた源泉と同額の領収書を提出して、源泉分を還付していました。

 本来源泉は初めに差し引かれていますので、1000万円の収入があったら、100万円を国が預かっています。そこから必要経費を差し引いて、残りを国に納めるのですが、必要経費は最大40%まで認められます。それを、いろいろな領収書を集めて、100万円分経費にして差し出すと、100万円分がそっくり還付金として戻ります。芸人は、それをいいことに、衣装を作ったり、生活費の足しにしていました。これは脱税です。

 私は、早くから、源泉の還付をしませんでした。税金は払うべきだと思っていたからです。それ故に毎年わずかでも税金を支払っていたのです。これがその後良い結果をもたらしました。それは、私の所得が記録として残ったのです。その記録から、銀行のローンが立ちました。お陰でマンションが買えたのです。このマンションが後々私の仕事を大きくしました。

 これからプロマジシャンになろうとする人は、ここを覚えておいてください。いくら収入がなくても、生活が苦しくても、税金を払わないというのはいけません。社会の信用が得られなくなりますし、社会に発言ができなくなります。

 

 一番苦労したことは、1時間の手順を作ることでした。それまで15分手順は二つ持っていても、それを合わせて30分手順を作ることはできません。またいたずらにマジックを入れて時間を延ばしても、それで1時間手順になるものではないのです。マジックの数を増やすというのは間違いで、1時間演じられる人と言うのは、1時間その人の舞台を見ても見飽きない人のことです。数々マジックを見せることではないのです。

 1時間の演技の内に、ストーリーを仕込むことも必要ですし、マジシャンの魅力をたっぷり語れる部分を作ることも必要です。お客様がこのマジシャンと1時間一緒にいてよかったと思わせるようでなければ、メインイベントの主役にはなれないのです。

続く。