手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

福岡のマジシャン

 昨日、午前10時30分に福岡空港に到着しました。ジミー菊池さんが待っていてくれて、そのまま市内の焼肉店へ、そこへ友希天星さんが合流し、しばらく焼肉を食べながら九州のマジシャンの活動を聞きました。

 やはり相当にコロナウイルスの影響は出ているようで、次々に仕事のキャンセルが発生しているようです。ジミー菊池さんは、私はお父さんの菊池豊さんの代からのお付き合いで、お父さんもマジシャンで、しかも道具製作者で、傘や毛花を出す手順を、一作200万程度で制作し、アメリカのコンベンションに行き、派手なパフォーマンスをしながら、金持ちのアメリカ人に販売し、大きな商売をしていた人です。手のひらから突然炎が上がる、フィックルファイヤーと言うものを考案し、販売して、大きな売り上げを作りました。最も成功した道具製作者だったと思います。

 その倅さんで、ジミーさんは、学生の頃からお父さんを手伝って、世界大会に顔を出していました。私も何度か見ていまるはずですが、その時のジミーさんと今のジミーさんはどうしてもつながりません。その後、親の家業を継いで、道具製作と、プロマジシャンとして活躍しています。九州では最も成功したマジシャンで、今も、現役で、大きなイベントの仕事をしています。

 友希天星さんは、長崎の小川心平さんの弟子をしていて、その後独立し、イリュージョンをしているマジシャンですが、今は、マジックの考案や、アドバイザーで活躍しています。ともにかなり大きな仕事をしている人たちなのですが、このたびの、コロナウイルスの影響で、随分活動が狭められているようです。

 

 さて、お二人は本来、九奇連に参加する予定だったものが、突然の中止で日程がぽっかり空いてしまいました。私の声がけは幸いだったようです。いつもは会ってもなかなかじっくり話ができませんでしたが、昨日はかなり突っ込んだ話ができました。

 ジミーさんは昨年、九奇連の翌日、ディーラーや、ゲストマジシャンをもう一泊福岡に招待し、翌日、会場を借りて、マジックショウと道具販売の企画を立てました。200円と言う、信じられないような低価格の参加費のために人は大勢集まり、道具もよく売れたようです。今回も、3月2日、つまり九奇連の翌日に、マジックショウを開催し、半日、催しをするそうです。せっかく九州まで来て、九奇連だけで帰るのは寂しいと、ほとんどのディーラーが参加するようです。

 ただし、これもコロナウイルスの影響が出そうです。何人お客様が来るかは未定ですが、少しお客さんの集まり具合は悪いかもしれません。それでも何か企画を打って、仲間の結束を作って行こうとする姿勢は良いことだと思います。

 

 今、ジミーさんのイリュージョンの目玉は、舞台の上で、巨大なパンダの着ぐるみを膨らませて、パンダを作り、そのパンダが踊りだすと言うアクトを取り入れています。

 パンダはお終いには4匹になり、それぞれ中から、子供や、お姉さんが出現して、おしまいになります。いきなり着ぐるみが膨らんで、2m以上のパンダになるのもすごいですし、踊りだすのも面白いと思います。マジック的には大きな不思議はありませんが、子供たちはこれを見たなら大喜びでしょう。昔からジミーさんはマジックにこだわらず、広く色々な芸能を取り入れているところが面白いと思っていましたが、いいアイディアを取り入れていると思いました。

 さて今日、3月1日は、昼から九奇連の幹部との話し合いです。この先九奇連をどうしたいのか、いろいろお話を伺いたいと思います。何のかんのと九奇連とのつながりが37年に及びました。長い縁になりました。ここから新たな発展があるのかどうか、今日の会議は私の人生にとっても重要な会議になると思います。