手妻師 藤山新太郎のブログ

1988 年、1994 年に文化庁芸術祭賞、1998 年に文化庁芸術祭賞大賞を受賞。2010 年には松尾芸能賞 優秀賞を受賞。 江戸時代に花開いた日本伝統奇術「手妻(てづま)」の数少ない継承者 藤山新太郎のブログ。

師走はせわし

 このところ多忙な日が続き、ブログも書けずに申し訳なく思っております。あれから27日に大掃除をし、28日から3日間、富士、名古屋、大阪と指導に出かけました。その間にテレビの撮影などあり、身動きが取れません。

 今は岐阜にいて、これから名古屋の指導に向かいます。指導を終えると大阪に向かい今晩は大阪泊まりです。このまま30日の深夜に東京に戻って、翌日はもう大晦日です。まったく何をしているんだか、大した実りもないまま日々が過ぎて行きます。

 

 それでも、昨日、富士の指導を終えて、そのまままっすぐ岐阜に行き、柳瀬で、峯村さんと、辻井さんと合流して、オフレコのマジックトークをしました。この話はさすがの私でも口外出来ません。勿論、ブログにも載せられません。危ない話ばかりです。しかし、こうして年かさが増すと、世の中の本質が見えてきて、これは楽しいものです。

 ホテルに戻ると、部屋に、堂上蜂屋柿(どうじょうはちやがき)が置いてありました。私が以前、辻井さんに、柿が好きだと言う話をして、その柿も、一つ1000円もする干し柿を、ある人からいただき、それを食べて、その味に驚いたと言う話をしました。そのことを覚えていてくれて、美濃加茂の超高級干し柿を用意してくれたのです。

 まだ中は開けていません。宮内庁への献上品で、箱は小箱ながらずしりと重く、めったに手にすることはできません。東京に持ち帰って、口を注いで、正座をして、家族と食べます。それだけ価値のある柿です。本当に辻井さんはいい人だと思います。

 

 さて峯村さんは昨晩、遅くに名古屋に帰りました。明日の私の教室に間に合わせるためです。私は、これから名古屋に行き、指導をします。このところ、大阪も、東京も、名古屋も、若い生徒が増えています。最近、大樹の活動などが目立ってきているため、マジックも手妻も、適当に道具を買ってやっていてもものにならないことがわかり、きっちり習わなければいけない。という理解が生まれてきたように見えます。

 いい傾向です。実際プロになろうとする人が、安易に解説ビデオを見ただけで古典ものをすることには無理があります。直接の指導と言うものは、一生その人の見についてゆくものですから、大きな財産になります。

 さて、指導の後は、いつものように峯村さんと軽く一杯やって、大阪に向かいます。今回は連日峯村さんと一杯やることになりますが、話の理解できる人と飲むくらい楽しいことはありません。こんな時間が持てることは私の人生で最高に幸せです。